2011年7月25日月曜日

Red Seeds Profile

販売形式:国内パッケージ
ジャンル:アクション アドベンチャー 箱庭
マルチプレイ:なし
備考:特記なし

<概要>
平和な田舎町グリーンベイルで、若い女性が樹木に磔にされたような遺体で発見される事件が起きた。FBIのエージェント、フランシス・ヨーク・モーガンがその調査のために現地へ向かうが、彼はその途中で、森の中を徘徊する亡霊のような無数の影に襲われる…。国産ゲームでは珍しい完全箱庭型のアクションアドベンチャーゲーム。

<システム>
時間の流れから村人の営みまでが再現されたグリーンベイルで、主人公ヨークを操って事件の捜査を行なう。とはいえ、基本的にメインの捜査は「特定の場所に特定の時間に行く」ことで勝手に進んでいくので、自分で捜査を進めるアドベンチャーゲームというよりは、物語性の強調されたアクションゲームに近い。核心に近付く場面では「常世」と呼ばれる異世界に入り込み、群がってくる亡霊のような何かとの戦闘を繰り広げることとなる。主人公の操作はバイオハザードのそれに近い。

<プレイ所感>
作り手がやりたいことを頑張って体現したけど、技術力が致命的に足りていなかったという残念な作品。「レビューでは悲惨な結果だったけど、実際にやれば物語やキャラの魅力で夢中になれる作品」と擁護されているのを何度か見ましたけど、レビュアーの立場として本作を評価したら、やはり「惜しい作品なんだ」と強調しつつも酷評せざるをえないと思います。基本コンセプトと物語(キャラ含む)が9/10点、グラフィックと操作性が2/10点、それ以外が4/10点、みたいなゲームと思ってもらえれば。

どこがダメかの前にどこがいいか書いておきます。
まず基本コンセプト。生きた田舎町を丸ごと作り込んだ箱庭ゲームに挑んだ純国産ゲームというのは、志としては非常に高く評価されるべきと思います。実際、村人たちがきちんと個々の生活を生きていて、自宅にいる姿を捜査の一環として覗き見たりもできるというのは、海外の箱庭ゲームでもかなり珍しいと言えます(そのせいでサイドミッションの発生時間に縛りがあったりという難点もありますが)。このお陰で、もともと結構魅力的に作られた登場人物たちの存在感が強まっているのも事実。
次に物語。「ツインピークスの亜流」的な印象はあるものの、ゲームではしばしば軽視される登場人物の深みなどもしっかり考慮されていて、物語的な完成度はかなり高いです。短めの海外ドラマか何かとして作り直したら、結構いい線いくんじゃないかという気もするくらい。海外ドラマに似つかわしくない豪鬼みたいなのと鳥山明デザインみたいなのが途中で出たような気もしますが、あれはプレイヤーが赤い種に見せられた幻覚ということで、シレッとデザイン変えてやればよろしい。

で、ダメな部分。これはあまり書きすぎるとイジメみたいになるので、どうしても書きたい部分のみ書きます。
まず主人公の操作性があまりにも酷い。操作性の悪い箱庭ゲーといえば大ロックスター社のアレやコレやが真っ先に出てきますが、それらが見た目のリアルさを追求するあまりそうなっちゃってるのに対し、本作は単純に初代バイオハザードの時代で時が止まってる感じ。LRキーでサイドステップとか、RTで銃を構えてAで射撃とか、何年ぶりにやっただろう。この点に関しては、お手本となりうる数々の作品が存在している状況下でこうしちゃったわけで、ガラパゴスもええかげんにせいよと。
次にグラフィック。こればっかりは純粋に技術と手数の問題なんで、これで製作者を責めるのは可哀相なんですが、プレステ2の水準に及ぶか及ばないかっていうレベルなのはさすがにどうかなぁ、と思うわけですよ。全体的に白っぽく浮いた映像に違和感があったりとか、キャラクタがいちいち面白いモーションで動いてるのでホラーな雰囲気が台無しだったりとか(エンドロールで本作にモーションキャプチャ使ってると知ってビックリ)、単に技術的なレベルで説明が付かない部分の粗が見えまくるのも気になります。レインコートキラーのシーンでのスプリットスクリーンみたいに、本作ならではのいい演出もあることはあるんですけどね。あと、いろいろ雑なグラフィックのくせに、ヒロインの造形だけは異様に整ってるあたり、実に日本的な感じがします。
最後に、全体的にゲームバランスが悪い。最弱の拳銃以外は概ね銃弾が限られてるのゴチゴチの敵が次から次へと無限湧きしたりとか、失敗したらやり直しのQTEが妙にシビアだったりとか(特にスティックガチャガチャさせ続けるQTEはコントローラー傷むからやめてほしい)、対処法分かったら全然強くないのにひたすら面倒な敵とか。銃弾はサイドミッションで弾数無限の銃が手に入るんで、それ使えってことなんでしょうけど、それでガリガリ撃ってると今度は「俺、何やってるんだろう」って気分になってきます。もっと真面目にバランス調整してください。

と、そんな感じでいろいろ残念なゲームなわけですが、変に印象に残る作品ではあったことは事実。実際、レビューで決めつけずに自分でやってみて良かったと思っていますし。本作のプランナーとシナリオライターは、次回は海外のゲームスタジオと組んでやってほしいと心底思っております。

0 件のコメント:

コメントを投稿